車の知識、どんどん薄れてない!?
私のカーショップ時代に、実際にあった話。
あるお客様が、怒って電話をかけてこられました。
「おたくでこの車を買って、3年になるが、ついに今朝エンジンが掛からなくなった!」
聞くと、この半年ぐらい前から、
朝一エンジンを掛けて、通勤をする時に、
なかなかエンジンが掛からない時があったそうです、、。
お客様は中年の女性。ご主人が車の免許を持っていなくて、毎朝最寄りの駅まで送り迎えをされていました。
お客様は、3年前に新車を購入されて、
本日ついにエンジンが掛からなくなったと
激怒されています、、。
そりゃ、まだ3年落ちの車がもうエンジンが壊れたのか??
とお客様が怒るのは無理もない。
早速積車に乗って、お客様の車を引き取りに向かいました。
会社に戻るなり早速、そのお客様の車の点検に入りました。
エンジンが掛からなくなる、というのは「3つの原因」があります。
①燃料が無い。もしくは、燃料がエンジンに届いていない。フューエルポンプの不具合。
②点火系の不具合。プラグから火花が飛んでいない。プラグ、プラグコード、もしくはコンピューター制御の不良。
③イグニッション系の不具合。セルモーターが回らない。セルモーターの不具合。接触不良。もしくは、バッテリーの不具合。
例外的に、これ以外の原因であることもたまにありますが、大抵はこの3つのどれかです。
しかし今回、このお客様の車のエンジンが掛からない理由は、上記のどれでもありませんでした、、。
私達には考えられない原因でした…。
直接の原因としては、
「エンジンが焼け付いた」事です。
では何故、「エンジンが焼け付いた」
のでしょうか??
なんと、「オイル交換を全くしていなかった」のです、、。
衝撃的でした、、!
このお客様の車のエンジンを下ろし、分解してみると、溜まっているはずのオイルはほとんど無い、、。
あとは、エンジンのヘッドカバーの裏側に、「岩のり」の様になったオイルの残骸が…。
しかも、焼け付いたのは、一番熱のこもりやすい2番ピストン。
驚いたのは、新車購入以来、一度もオイル交換をしたことがなかったそうです、、。
逆に、3年間出先で止まらずに、
ほぼ毎日車に乗ってこれた事が奇跡です…。
後日、お客様に来店して頂き、
お話しました。
それで分かった事は、車に興味の無い中年女性や、免許の無い男性方には、
「ガソリンエンジンの車を維持するには、まず定期的なオイル交換が必要である」
という常識が全く無かった。
「えっ、オイルという物を交換しなくてはいけないのですか??」
これが、点検後、お客様に電話した時の第一声、、。
「納車時に、お客様のお車はターボ車になるので、オイル交換は3000km前後で行って下さいと、言いましたよね!?」
「ごめんなさい。ちょっとあんまり意味が分からなくて、、」
そうなんです!車に興味の無い方からすれば、これは意味の分からない事なんです!
小さい頃から、車やバイクの雑誌、記事を読み漁っていた私としては、何故オイル交換を知らないのか、到底理解出来ませんでした、、。
何故オイルって交換する必要があるの??
そして、「ターボ車」って何!?
お客様の頭の中には、こういった疑問点があったと思います。
大切な愛車の維持に関するセオリーなので、分からなければ聞いて欲しい。
そもそも、免許を取るときにも、
習ったはずです。
「人間に置き換えると、輸血が必要で、瀕死の状態にある人に、輸血をしなかったのと同じ事です」
私はお客様に言いました。
お客様は、顔面が蒼白になり、
初めて事の重大さに気付いたと
言われました、、。
私は、車の知識に疎いお客様には、
よく人間の体に例えて説明しました。
お客様は、大抵リアルな反応をされました。
後は、「ブレーキ整備の大切さ」について、このお客様にも念押しで説明しました。
ブレーキを踏んで、変な音が鳴ったり、あまりブレーキが効かなくなったと気付いたら、まず点検にご来店下さいと、、。
ブレーキが効かなくなれば、最悪お客様が
事故をするからです。
最悪、「人をはねる」からです、、!
年々ペーパードライバーが増えて、車の知識のある方がどんどん減りつつある現在、、
車という工業機械に乗る際に、
これだけは忘れないで下さい。
車とは、「人を殺せる」道具である、、!
車を利用する以上、運行前点検、日常点検を怠るなと、免許取得時にも習ったはずです。
1トン、2トン近くある鉄の塊を、
60~100km で人間が動かすのです。
人を殺そうと思えば殺せるのです。
日常点検を怠ると、思っていなくても、
人を轢き殺す可能性もある。
ご遺族に原因を問い詰められた時に、
「すいません。ブレーキが効きませんでした」
では、理由になりません。
人を殺す事は無いでしょうが、今回のこのお客様が、もし出先でエンジンが止まって、大渋滞を起こした時に、
「すいません。オイル交換を全くしていませんでした」
では、渋滞に巻き込まれた人々に弁解出来ません。
皆様、社会の一員として、車を公道で利用する時には、最低限の知識は持ちましょう。
本当に最悪の場合、知識が無かった為に事故を起こしてしまい、被害者の人生、また貴方自身の人生を変えてしまうかも、、。