若気の至り、“傲り高ぶり”…
— kamax 8430 (@8430Kamax) 2017年10月6日私がまだ20代前半、「ジムニー専門店」
に勤めていた頃の話しです。
当時は「営業兼、車検登録部長」
として頑張っていました。
入社して数年経ち、車の販売にもだいぶ
慣れてきました。
ある月に、私は過去最高の販売台数を
達成しようとしていました。
「よっしゃ、今月はなんとしても〇台まで
売るで~」
もう少しで販売台数20台に差し迫ろうとしていたのです。
そんな中、平日の夕方に、あるお客様が来店されました。聞くと、先週の土曜日に後輩が接客した方でした。
「今日は〇〇さんはいらっしゃいますか?」
「お客様、今日はあいにく〇〇はお休み頂いていまして、私で良かったらお伺いしますが?」
「そうですか。先週あの車のお話しを聞いてたんですが、今日はもう購入しようと思いまして。まだあの車ありますか?」
「ありますよ。それでは、私が変わってお手続き致します。」
やりました!ついに20台達成です!
後輩とは、購入に向けてある程度具体的な話しもあったみたいで、そのお客様に聞きながら手続きしました。
翌日、後輩が出社したので、報告しました。
「〇〇さん、昨日店来てくれて、購入されたで。あの車。」
「うそ、ホンマですか?段取り決めてたのに。どんな話しになりました?手続きまだですか?」
「いや、売買契約書も交わしたし、ローン用紙も書いてもらった。」
「えっ、〇〇さん(私)の名前で?」
「そら、そうやで。俺手続きしたし。」
「あぁ、そうですか。」
後輩はムッとして、事務所を出て行きました。倉庫でガンガン音を立てながら、何か片付けをしていました。
「売買契約書とローン用紙、お前の名前で書き直そか?」
私は後輩の態度に堪り兼ねて言いました。
「もういいですよ!銀行印押してるし」
またガンガン作業を続けています。私は、後輩にちょっと悪い事をしたかな?と思いました。
でも、どこの販売店でも、こういう事はよくあるのです。1台売れば大台達成の私には、後輩を想う余裕はありませんでした。
「それやったら昨日休むなよ、お客様と日程の段取りも出来てへんし。逆に売って頂いて有難うぐらい言えんのか?」
それから2週間が経ちました。その後輩とはあまりしゃべらない日が続きました。
「あれ、無い!無い!ローン用紙が無い!」
なんと、また別のお客様のローン用紙が無くなっていたのです。書いて捺印して頂いたローン用紙を入れるトレーがあり、前日に手続きが終わって入れていたのです。それがなんと、翌日にそこから無くなっているとは…
私は真っ先に、後輩を疑いました。
「お前、〇〇さんのローン用紙知らんよな?どっか移したりしてない?」
「何で俺がそんなことするんですか?俺の事疑ってるんですか?」
「ごめん。知らんよな。」
私はその後輩がやったに違いないと思っていたのです。更に関係は悪化しました。
確かに手続きが終わり、トレーに入れたのです。そこから1週間、ありとあらゆる所を探しましたが、出てきません。お客様のご自宅にお伺いし、頭を下げてもう一度書いて頂きました。
「大丈夫なんか?銀行印押してんやで?」
お客様の信頼も揺らいでいました。ローン用紙は現金の変わり。現金とも同じ。最悪の出来事です。
どこの会社でも、こういった営業同士の足の引っ張り合いなんかはあると思います。売ればそれだけ歩合が付きますし、皆必死です。
しかし、後輩は本当に私のお客様のローン用紙なんか知らなかったのかもしれない。
私も躍起になって、後輩の「おこぼれ」まで奪って販売台数を増やして、挙げ句にその後輩を疑って。
「昨日〇〇さん、店来てくれて、車購入されたけど、お前の名前で手続きしといたで」
何故、先輩らしくこれが言えなかったのでしょうか?今の私なら、出来るのですが、当時はギラギラしていたので、無理でした…。
若気の至り、傲り高ぶり。
誰にでもあるでしょうが、私の場合、後輩を傷つけ、自己中になった挙げ句、その場でバチを食らう羽目になりました。苦い思い出ですよ…。