2カ月でなんと骨折2回!崖っぷちカーセールスライターの左手ブログ!

もう、車業界に身を置いて、22年になります。「カーセールスライター」というのを最近始めて、もう20数件のお仕事をさせて頂きました。ですが、7月に右足かかと粉砕骨折、10月1日に右肘開放骨折。セールスライターであり、現職の職人でもあり、車業界20年にして最大のピンチを迎えた最近、始めたブログです。こののび太のような状況を笑い、車業界などの話しを中心に楽しんで下さい!

「おじいさんをいじめるなよ~」

皆様、全4回のユーザー車検特集、いかがでしたか?

 

この4回の記事と、国土交通相のHPがあれば、ユーザー車検には行けると思います。

 

このブログの読者様は、毎日愛車の事を考えているような車好きだと思いますので、是非愛車の車検もご自分で行ってみましょう。

 

その車検にちなんで、いくつか思い出のエピソードがあります。今回はその内の1つ。

 

私が車検に行っていた全盛期は、ある特定の車種ばかりでした。

 

「スズキ ジムニー」です。

 

私の車業界の始まりは、この専門店に勤めるところからでした。ですので、この車ばかり毎日車検に行っていました。年間600台以上。軽自動車検査協会では、ちょっとした有名人です。

 

そんな中でも、思い出深い車がありました。お客様の車ですが、初期型のジムニーでした。

 


f:id:kamax8430:20171115143318j:image

 

現車は緑色でした。ボロボロの幌が被せてありました。検査も切れていましたので、積載車に載せて、検査場に持ち込みました。

 

スペックで言うと、排気量は360cc、2気筒2サイクル。20馬力ちょっと。見た目は非常に小さく、馬車みたいな車でした。

 

2サイクルなので、検査コースの中は真っ白になりました。毎日顔を会わす検査官に言われました。

 

「煙たい!公害車持って来るなよ~」

 

正直、排ガス検査に引っ掛かる可能性もあるので、並んでいる間に吹かしておかないと。

その結果、2レーンしかない検査コースの中が真っ白になったのです。私も煙たかった。

 

いざ、検査コース突入。サイドスリップ、ブレーキ検査は一発合格。幸先はよろしい。次のスピードメーター検査。なかなか40kmが合いません。

 

「今何km?もうちょっと後、先?」

 

「もうちょっと後でボタン押して!」

 

顔馴染みのよしみで、通してもらいました。

もうこの時で30年以上前の車。メーターなんか当てになりません。メーターの針がフラフラしています…。

 

しかし、ヘッドライト検査が、ダメでした。

 

なんと、ヘッドライトテスターが、ガシャガシャ動いて、光を拾いません。

 

それから2回、並び直しました。私も半ば諦めていました。

 

「光量が不足してるわ~」

 

検査官にも言われました。

 

皆様、ご存知でしょうか?

この時代のヘッドライトは、

 

「シールドビーム」

 

なのです。現在のように、ヘッドライトユニットにバルブ球が入っているのではなく、ヘッドライト自体が電球になっていました。しかも全面ガラス作り。

 

この車のヘッドライトをよく見ると、中の反射フィルムが錆びて剥がれて、フィラメントの光を十分前に照射出来ていませんでした。

 

「これ、ヘッドライト変えな通らんで~」

 

「マジですか?おじいさんをいじめるなよ~」

 

思わず検査官に言いました。

 

もうライトが暗いのです。人間で言うと、白内障緑内障みたいなもの。今この場でヘッドライトの交換は出来ません。私も、今日中にこの車の車検を通したい。二度手間は嫌なのです。

 

検査場は午後4時までです。人影も少なくなり、チャイムがなったその時、もう一度だけ検査コースに並ばせてもらいました。

 

検査項目はヘッドライトのみ。もう4回目のチャレンジでした。

 

検査官の特別な計らいで、停止線より

もう50cm前で検査させて頂きました。

 

ようやく、ヘッドライトテスターが光を拾ってくれました。しかし、左右共に「×」が。

 

ダメもとで、ドライバー片手に車の前に立ちました。

 

「ここでライト調整させて下さい、お願いします!」

 

「もう~、最後やで!右ライトは左に80、左ライトは上に40や!」

 

「こんなもんですか!」

 

「OK、OKや、それでええわ!」

 

最後に検査官に甘えまくって、ようやくこの車の検査が終わりました。

 

まぁ、検査官にも「おじいさん」の言葉が響いたんじゃないでしょうか?違法改造で車検が通らないのとは違うので。時間もかかって最後の一台になり、皆さん協力的でした。

 

コースから出るとき、エンストしました。

 

「あれ、エンジンがかからない!?」

 

フューエルメーターは生きていました。おそらくガス欠です。積載車に載せて来たので、ガソリンは入れませんでした。

 

「すいません!〇〇さんと、〇〇さん。ちょっと車押してくれませんか?」

 

「は?エンジンかからへんの?今日はおたくにどんだけサービスせなあかんねん!?」

 

検査場のシャッターを締めた検査官に、

更に協力をお願いしました…。

 

「この車軽いな~!360ccやもんな~」

 

検査官もやはり車好き。楽しそうに押して頂きました。

 

「色々と、ご協力有難うございました!」

 

なんとか積載車に積み込み、書類も出せて、

検査協会を出たのがもう5時でした。もう、言い知れない充実感がありました。

 

もう、半分検査官に通してもらったような、その車の車検。毎日行っている馴染みの関係もありますが、軽自動車検査協会は、年配の人情味のある検査官が多いです。私も毎日ここへ来るのが楽しかった。

 

皆様、ご存知ないと思いますが、この時代のスズキのエンジンは、2気筒、360ccで、オルタネーターはなんとエンジンと一体物でした。ベルトも無く、現在のように別体ではありません。そもそも発電量が低い。アクセルを吹かしまくって、ようやくライトが明るくなる感じ…。原付スクーターのような感覚ですね。

 

PS .普通車の検査場は、検査官になりたての若い人が多く、頭も固い。ちょっと年配の、上司のような検査官と仲良くなるのがコツです…。